kari-hanamichi

仮花道

かりはなみちthe temporary second hanamichi

INSTANT ANSWER一撃回答

本花道(はなみち)と反対の上手側に、演出に応じて仮設されるもう一本の花道。二本を併用する両花道では、劇場全体が物語の空間になる。

仮花道は、客席下手側に常設された本花道に対し、上手側(舞台に向かって右)に必要に応じて仮設されるもう一本の花道である。本花道より幅は狭く、演目や演出に合わせて設けられる。江戸時代の芝居小屋の通路から発展したとされ、旧金毘羅大芝居(金丸座)などでは今もその姿を見ることができる。

二本の花道を同時に使う演出は「両花道」と呼ばれ、客席そのものが物語の空間に取り込まれる。『妹背山婦女庭訓』吉野川の場では、二本の花道を川の両岸に見立て、舞台と客席全体でひとつの大きな風景を描くとされる。

仮花道には「東の歩み」という古風な別名も伝わるとされる。江戸の劇場では宝暦の頃、上手側の通路「東の歩み」が仮花道(かりはなみち)へと発展したとされ、江戸の芝居小屋の空間感覚を、言葉の上に留めた名である。

仮花道は特定の家の芸ではなく、劇場という空間を丸ごと使い切ろうとする歌舞伎全体の知恵である。十三代目團十郎(だんじゅうろう)も舞台を勤める歌舞伎座(かぶきざ)では、今も演目に応じて仮花道が設けられ、観客を物語へ巻き込む歌舞伎の発想を今日に伝えている。

SOURCES

出典・監修

執筆
KABUKI Universe編集部
監修
市川團十郎
公開日
2026年8月15日(土)
最終更新日
2026年9月9日(水)
監修済み

監修は、市川團十郎に趣旨と要点を確認いただいたことを示します。本文は編集部の文章であり、市川團十郎の発言ではありません。文責は編集部にあり、記述の誤りは編集部の責任で訂正します。 編集方針を読む