LEARN 01 — WHAT IS KABUKI

歌舞伎とは

歌舞伎は、400年以上の歴史を持つ日本を代表する伝統芸能の一つであり、音楽・舞踊・演技が一体となった総合舞台芸術です。隈取(くまどり)や見得(みえ)に代表される様式美を持ち、すべての役を男性俳優が演じます。江戸時代に町人の娯楽として花開き、国の重要無形文化財・ユネスコ無形文化遺産として、いまも全国の劇場で上演され続けています。

KEY FACTS

  • 1603年頃、出雲の阿国が京都で始めた「かぶき踊り」が起源とされる
  • 江戸時代に庶民の娯楽として発展し、演劇として成熟した
  • 現在はすべての役を男性俳優が演じ、女性の役は「女方(おんながた)」が担う
  • 隈取・見得・花道(はなみち)など、他の演劇にない様式美を持つ
  • 1965年4月20日、国の重要無形文化財に指定。文化庁は能楽・人形浄瑠璃(じょうるり)と並ぶ「三大国劇」の一つと解説する
  • 2008年、ユネスコ無形文化遺産の代表一覧に記載された(2005年に「傑作」として宣言)
明治期の歌舞伎の舞台を描いた浮世絵
明治期の浮世絵より
THE STAGE, AT A GLANCE

図でつかむ、歌舞伎の舞台

花道、廻り舞台(まわりぶたい)、定式幕(じょうしきまく)——歌舞伎の劇場は、それ自体がひとつの仕掛けです。番号を押すと用語の案内へ進めます。

舞台花道客席大向う(3階席のあたり)1234567
  1. 1花道客席を貫く俳優の通り道
  2. 2すっぽん花道の小さなセリ。妖しいものが現れる
  3. 3廻り舞台場面を回して転換する
  4. 4セリ人や大道具を昇降させる
  5. 5定式幕黒・柿・萌葱の三色の引幕(歌舞伎座の並び)
  6. 6黒御簾効果音・下座音楽の部屋
  7. 7大向う掛け声のかかる後方の席
図は一般的な劇場の配置を簡略化したものです。寸法や定式幕の色順は劇場によって異なります。番号を押すと、それぞれの用語の案内へ進めます。
01A TRADITIONAL PERFORMING ART

歌舞伎は日本を代表する伝統芸能の一つ

文化庁は歌舞伎を「江戸時代に育成された日本演劇の一形態で、能楽、人形浄瑠璃と並んで、わが国の三大国劇と呼ばれる」と解説し、1965年4月20日に国の重要無形文化財に指定しました。その保持者として総合認定を受けているのが、伝統歌舞伎保存会の会員である俳優たちです。2008年には、ユネスコ無形文化遺産の代表一覧にも記載されました。

能が武家の式楽として保護されたのに対し、歌舞伎は町の劇場で観客の支持によって育った芸能です。ユネスコの説明文も、歌舞伎が「とりわけ町人のあいだで人気を集めた」ことから書き起こしています。

02ORIGINS AND HISTORY

400年以上続く歌舞伎の歴史——江戸文化とともに

歌舞伎のはじまりは、1603年頃に出雲の阿国という女性芸能者が京都で披露した「かぶき踊り」だとされています。語源は「傾く(かぶく)(かぶく)」——常識の枠に収まらず、自分の色で堂々と生きる、という意味を持つ言葉でした。

その後、幕府の規制を経て演じ手は成人男性へと移り、江戸時代を通じて演劇として成熟していきます。江戸では力強く豪快な「荒事(あらごと)」、上方ではやわらかく写実的な「和事(わごと)」——土地ごとの美意識を映しながら、歌舞伎は庶民の娯楽の中心として発展しました。

その「荒事」を確立したのが初代市川團十郎(いちかわ だんじゅうろう)とされ、以来「市川團十郎(だんじゅうろう)」の名は、江戸歌舞伎を象徴する名跡(みょうせき)として現代まで受け継がれています。

03A TOTAL ART

演劇・音楽・舞踊・美術が融合した総合芸術

文化庁の解説は、歌舞伎を先行する諸芸能を「摂取し、これを様式化、庶民化した総合的な芸能」と位置づけます。物語を運ぶ演劇、音楽そのものを見せる舞踊、長唄(ながうた)や竹本(たけもと)の音楽、役を着る衣裳、隈取と鬘、大道具(おおどうぐ)と舞台機構、鶴屋南北や河竹黙阿弥の戯曲、立廻り(たちまわり)や見得の身体表現——どれか一つでは歌舞伎になりません。

04THE STAGE

舞台の特徴——花道・定式幕・ツケ

客席を貫いて延びる通路「花道」は、歌舞伎劇場のいちばんの特徴です。役者は観客のすぐ横を通って現れ、去っていく。舞台と客席の境界が溶けて、劇場全体がひとつの物語の場になります。

黒・柿・萌葱の三色を縦に染め分けた引幕「定式幕」は、歌舞伎の劇場を象徴する意匠です。幕が横へ引かれて開く、その瞬間の高揚感も観劇の醍醐味のひとつです。

感情の頂点で役者がぴたりと静止する「見得」には、「ツケ」と呼ばれる木の拍子の音が打ち込まれ、一瞬が絵のように刻まれます。役の性質を色の線で描き分ける化粧「隈取」とともに、歌舞伎独自の様式美をかたちづくっています。

05KINDS OF PLAYS

演目の種類——時代物・世話物・舞踊

歌舞伎の演目は、大きく三つに分けられます。武士や公家の世界を描く歴史劇「時代物(じだいもの)」。江戸の町人の暮らしや恋を写す「世話物(せわもの)」。そして音楽と踊りそのものを味わう「舞踊(所作事(しょさごと))」です。

一日の興行では、性格の異なる演目が組み合わされるのが一般的です。初めてなら、動きの大きな荒事や華やかな舞踊から入ると、言葉が分からなくても楽しめます。

06KABUKI TODAY

現代へ受け継がれる日本文化

歌舞伎はいまも、東京の歌舞伎座(かぶきざ)をはじめ全国の劇場でほぼ一年を通して上演され、映画や映像配信、SNSを通じて新しい観客と出会い続けています。2008年には、ユネスコ無形文化遺産の代表一覧に記載されました。

07ACTORS, HOUSES, NAMES

歌舞伎を継承する俳優と名跡

無形文化財は人によって体現されます。歌舞伎では、その人が俳優と家です。俳優は「家」に属し、家は「屋号(やごう)」で呼ばれ、名は「名跡」として代々受け継がれます。名を継ぐ「襲名(しゅうめい)」は、その名に結びついた芸と役を引き受けることでもあります。

08ICHIKAWA SŌKE

市川宗家と市川團十郎

市川團十郎家は、江戸歌舞伎を代表する名跡です。市川家が代々磨いてきた十八の演目「歌舞伎十八番(じゅうはちばん(おはこ))」は、得意なものを指す「おはこ(十八番)」という言葉の由来ともいわれます。現在は十三代目市川團十郎白猿(はくえん)がその名を継ぎ、長女・四代目市川ぼたん(いちかわ ぼたん)、長男・八代目市川新之助(いちかわ しんのすけ)とともに舞台に立っています。

FROM THE OFFICIAL CHANNEL

KABUKU. / 市川團十郎。

歌舞伎とは何かを、本人の言葉で

05RELATED TERMS

関連用語

本文に出てきた言葉を、一行の答えから確かめられます。

出典・参照

本ページの記述は、広く確立された標準的な知識に基づく編集部の解説です。史実の細部には諸説があります。

執筆
KABUKI Universe編集部
公開日
2026年8月15日(土)
最終更新日
2026年9月12日(土)

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