aragoto
荒事
あらごとthe bold, heroic style of Edo kabuki
INSTANT ANSWER一撃回答
初代市川團十郎が創始したとされる勇壮な演技様式。隈取や巨大な衣裳、大きな見得によって、人間を超えた力と正義を表現する。
荒事は、江戸歌舞伎を代表する演技様式である。初代市川團十郎が江戸で創始したとされ、隈取、誇張された衣裳、力強い台詞回し、大きな見得によって、人間を超えた英雄の力を舞台に立ち上げる。江戸の観客は、その豪快さに悪を払う爽快さを見出した。
対をなすのは、上方で育った柔らかな「和事」。荒事は単なる力の誇示ではなく、荒ぶる力を借りて悪を鎮める「祈り」の芸ともいわれる。『暫』や『鳴神』後半の豪快な姿は、その魅力をもっとも分かりやすく伝えてくれる。
荒事の産声は、延宝元年(1673)にさかのぼるとされる。初代團十郎がまだ十代の頃、江戸・中村座の『四天王稚立』で坂田公時を勤め、紅と墨で顔を彩って豪快に暴れてみせた舞台が、その始まりと伝えられる。当時江戸で人気を集めていた人形芝居「金平浄瑠璃」の武勇談から想を得たともいわれ、人形の荒々しい動きが、生身の役者の芸として生まれ変わったのである。
荒事は市川團十郎家が代々受け継いできた家の芸であり、歌舞伎十八番の多くがこの様式に属する。十三代目もまた、この型を今日へ手渡す当代の担い手である。

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KABUKU. / 市川團十郎。この言葉が出てくる映像
市川團十郎が語る歌舞伎の始まりと市川家の伝統
2025年8月17日(日)
歌舞伎の始まりから、初代團十郎が生み出した力強い様式へ。荒事がどこから来たのかが辿れます。
この用語が分かる演目
この語を読んだら、次はこれ
同じ舞台の上でつながっている言葉です。ひとつ知ると、もうひとつが分かりやすくなります。
- 見得mie感情と力が頂点に達した瞬間、役者が動きを止めて決める様式的なポーズ。ツケの音とともに、舞台が一枚の絵として完成する。読む
- 六方roppō手足を大きく振り、力強く踏みしめて進む様式的な歩みの演技。『勧進帳』の弁慶が花道を引っ込む飛び六方が名高い。読む
- 隈取kumadori役柄の内面を色と線で顔に描き出す歌舞伎独特の化粧法。紅は正義や勇気を、藍は敵役や超自然の力を表すとされる。読む
- 十八番jūhachiban / ohako市川宗家が家の芸として選んだ十八の演目「歌舞伎十八番」。転じて、得意なものを指す言葉「おはこ」の語源になったとされる。読む
- 押戻しoshimodoshi暴れ狂う怨霊や妖怪を、荒事の勇者が花道で押し戻す様式的な場面・役柄。歌舞伎十八番の一つにも数えられる。読む
出典・監修
- 執筆
- KABUKI Universe編集部
- 監修
- 市川團十郎
- 公開日
- 2026年8月15日(土)
- 最終更新日
- 2026年9月9日(水)
監修は、市川團十郎に趣旨と要点を確認いただいたことを示します。本文は編集部の文章であり、市川團十郎の発言ではありません。文責は編集部にあり、記述の誤りは編集部の責任で訂正します。 編集方針を読む