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押戻し

おしもどしthe hero who pushes back an evil spirit

INSTANT ANSWER一撃回答

暴れ狂う怨霊や妖怪を、荒事(あらごと)の勇者が花道(はなみち)で押し戻す様式的な場面・役柄。歌舞伎十八番(じゅうはちばん(おはこ))の一つにも数えられる。

押戻し(おしもどし)は、花道から暴れ出ようとする怨霊や妖怪を、荒事の勇者が青竹を手に堂々と押し戻す様式的な場面、およびその役柄を指す。『鳴神(なるかみ)』や道成寺物などの幕切れ(まくぎれ)に付く演出で、荒事の力が悪しきものを鎮める瞬間を象徴的に見せる。

独立した物語というより「型」として伝わるもので、歌舞伎十八番の一つに数えられている。筋隈に大太刀という荒事の典型的な扮装で、悪を鎮める祈りとしての荒事の性格がもっとも純粋に表れる。

今日この型を体験できる代表が、『京鹿子娘道成寺』に押戻しが付く上演である。恋の執念で蛇体と化した白拍子花子が花道へ暴れ出ようとするその前に、大館左馬五郎が青竹をかざして立ちはだかり、荒事の力で押し戻す。女方(おんながた)舞踊の大曲が、幕切れの一瞬で荒事の世界と出会う趣向である。

押戻しを含む歌舞伎十八番は、市川宗家(いちかわそうけ)が家の芸として選び定めた演目群である。荒ぶる力で悪しきものを鎮めるこの型には、市川宗家(そうけ)の荒事の精神がもっとも純粋な形で息づいている。

歌舞伎十八番『押戻』の鎮西八郎為朝。隈取をした荒事の扮装で、竹を手に悪霊を押し戻す八代目市川團十郎
歌川国貞『歌舞伎十八番之内八 押戻 八代目市川團十郎の鎮西八郎為朝』嘉永5年(1852)歌川国貞『歌舞伎十八番之内八 押戻 八代目市川團十郎の鎮西八郎為朝』ボストン美術館(パブリックドメイン, Wikimedia Commons)
SOURCES

出典・監修

執筆
KABUKI Universe編集部
監修
市川團十郎
公開日
2026年8月15日(土)
最終更新日
2026年9月9日(水)
監修済み

監修は、市川團十郎に趣旨と要点を確認いただいたことを示します。本文は編集部の文章であり、市川團十郎の発言ではありません。文責は編集部にあり、記述の誤りは編集部の責任で訂正します。 編集方針を読む