onnagata
女方
おんながたmale actors specializing in female roles
INSTANT ANSWER一撃回答
女性の役を専門に演じる男性俳優。写実の模倣ではなく、様式化された美によって歌舞伎独自の女性像を舞台に立ち上げる。
女方は、女性の役を専門に演じる男性俳優を指す。江戸時代初期に女性が舞台に立つことを禁じられたのち、その制約の中から発達した芸で、写実の模倣ではなく様式の積み重ねによって、歌舞伎独自の女性像を作り上げてきた。
立役(男役)と女方が同じ舞台に立つとき、歌舞伎の世界は完成する。『助六』の揚巻、『與話情浮名横櫛』のお富など、女方の当たり役は演目の魅力そのものを支えている。
女方の芸を間近に感じるなら、歌舞伎十八番『鳴神』の雲の絶間姫も忘れがたい。雨を司る竜神を封じた鳴神上人のもとへ遣わされた美女が、色香と機知で上人の心を解いていく——実質二人の登場人物で進む芝居の緊張を、女方の繊細な芸が支えている。
元禄の名女方・初代芳沢あやめの芸談『あやめ草』には、舞台と日常にわたる女方の心得が二十九か条にわたって記されているとされる。「日常から女性のように暮らさなくては、上手な女方とはいえない」という有名な言葉は、役を「演じる」のではなく「生きる」という、この芸の深さを物語っている。
女方は特定の家に限らず、歌舞伎全体を支える芸である。立役の荒事を家の芸とする市川宗家の舞台でも、『助六』の傾城揚巻をはじめとする女方の存在が、物語の華を担ってきた。

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SOURCES
出典・監修
- 執筆
- D-13編集部
- 公開日
- 2026年8月15日(土)
- 最終更新日
- 2026年8月16日(日)