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和事

わごとthe soft, romantic acting style of Kamigata

INSTANT ANSWER一撃回答

上方で生まれた柔らかく優美な演技様式。恋する男の繊細な心情をつややかに描き、江戸の荒事(あらごと)と対をなすとされる。

和事(わごと)は、恋愛の場面を柔らかく優美な身のこなしと台詞で見せる演技様式である。元禄期の上方で発達し、初代坂田藤十郎が大成したとされる。『廓文章』の伊左衛門のように、零落してもなお色気を失わない若旦那の姿に、その神髄がよく表れている。

舞台で和事を味わうなら、『廓文章』の吉田屋の場がその入り口となる。勘当された伊左衛門は、紙衣と呼ばれる紙の着物をまとって恋人・夕霧のもとを訪れる。高貴な生まれの者が零落した姿で現れる趣向を「やつし」といい、みすぼらしい身なりと御曹司らしい品や色気との落差にこそ、和事の柔らかな演技がもっとも輝くとされる。

江戸で荒事が育ち、上方で和事が磨かれた——この対をなす二つの様式は、歌舞伎の演技の両輪である。市川團十郎(いちかわ だんじゅうろう)家の荒事を味わううえでも、和事はその鏡となる存在であり、『助六(すけろくゆかりのえどざくら)』の主人公には荒事の勇壮さに和事の色気が溶け込んでいるとされる。

SOURCES

出典・監修

執筆
KABUKI Universe編集部
監修
市川團十郎
公開日
2026年8月15日(土)
最終更新日
2026年9月9日(水)
監修済み

監修は、市川團十郎に趣旨と要点を確認いただいたことを示します。本文は編集部の文章であり、市川團十郎の発言ではありません。文責は編集部にあり、記述の誤りは編集部の責任で訂正します。 編集方針を読む