歌舞伎D-13

kuromisu

黒御簾

くろみすthe offstage music room for geza music

INSTANT ANSWER一撃回答

舞台下手にある、黒い御簾を掛けた小部屋。中では唄や三味線、鳴物が芝居に合わせて演奏され、その音楽は下座音楽と呼ばれる。

黒御簾は、舞台下手(客席から見て左)にある、黒い御簾を掛けた小部屋である。中では長唄の唄方と三味線方、鼓・太鼓・笛などの囃子方が、御簾越しに舞台の進行や俳優の呼吸をうかがいながら生演奏を続ける。この音楽は下座音楽、または黒御簾音楽と呼ばれる。

演奏は唄や三味線の曲にとどまらない。鳴物は、風や雨といった自然の音、動物の鳴き声、幽霊が現れるときの音など、数多くの効果音を受け持つとされる。姿を見せないまま場面の空気を一変させる、歌舞伎の「見えない演出家」である。

鳴物の中でも心憎いのが「雪音(ゆきおと)」である。現実には音もなく降る雪を、歌舞伎は、先端を布などで包んだ桴(ばち)で大太鼓を柔らかく打つ音で表すとされる。低くくぐもった響きが客席を包むと、不思議と雪の降りしきる静けさが立ちのぼる。音のないものを音で描く、下座音楽の想像力を象徴する一手である。

黒御簾は特定の家に属さない、歌舞伎全体の音の仕組みである。見えないものが舞台を支えるという発想は黒衣や柝とも通じ、市川宗家の演目を含む今日のあらゆる歌舞伎の舞台に息づいている。

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