kōken

後見

こうけんthe onstage attendant who assists the actor

INSTANT ANSWER一撃回答

舞台の上で俳優の演技を助ける役。小道具(こどうぐ)の出し入れや衣裳の引抜(ひきぬき)きを担い、多くは演者の門下の俳優が務めるとされる。

後見(こうけん)は、舞台の上で演技や演出を助ける役である。小道具の出し入れ、衣裳の調整、舞台上で衣裳を一変させる「引抜き」などを担い、演者の動きからキッカケを読み取って、わずかな一瞬を逃さずに働く。芝居や音楽の知識に加え、演者の癖やその日の調子への対応まで求められるため、ほとんどの場合、演者の門下の俳優が務めるとされる。

黒衣(くろご)姿のほか、鬘を付け、黒の着付けに裃を重ねた「裃後見」は、歌舞伎十八番(じゅうはちばん(おはこ))など様式性の強い演目に登場するとされる。主役の背後に端然と控えるその姿は、それ自体が舞台の格式の一部である。

後見の技が最も鮮やかに現れるのは、舞踊の引抜きの瞬間だろう。長唄(ながうた)舞踊の大曲『京鹿子娘道成寺』では、後見が仕付け糸を抜き取るや、白拍子の衣裳が一瞬で別の色に変わる。踊りを止めずに何度も衣裳を替えてみせるこの離れ業は、後見と演者の呼吸が完全に合ってこそ成り立つとされる。

裃後見が映えるのは、市川宗家(いちかわそうけ)が家の芸として伝えてきた歌舞伎十八番のような格の高い舞台である。『勧進帳(かんじんちょう)』をはじめとする演目で主役を支える後見の存在は、芸が師から弟子へ、家から家へと受け継がれていく歌舞伎の仕組みそのものを映している。

SOURCES

出典・監修

執筆
KABUKI Universe編集部
監修
市川團十郎
公開日
2026年8月15日(土)
最終更新日
2026年9月9日(水)
監修済み

監修は、市川團十郎に趣旨と要点を確認いただいたことを示します。本文は編集部の文章であり、市川團十郎の発言ではありません。文責は編集部にあり、記述の誤りは編集部の責任で訂正します。 編集方針を読む