歌舞伎D-13

chūnori

宙乗り

ちゅうのりthe "flying" stage effect

INSTANT ANSWER一撃回答

ワイヤーで吊られた役者が客席の上空を飛んで移動する演出。幽霊や妖怪、狐など人ならぬ役に用いられ、劇場全体が舞台になる。

宙乗りは、吊られた役者が舞台や客席の上空を飛んで移動する演出である。江戸時代からある技法とされ、現代ではワイヤーロープを用い、花道のあたりから上昇した役者が一階客席の上空を通って、二階・三階席の高みへと消えてゆくのが通例となっている。

用いられるのは、幽霊や妖怪、人間に化ける狐といった、現実の理屈を超えた役どころである。頭上を役が飛び越えてゆく瞬間、客席そのものが物語の空へと変わる——劇場全体を舞台にしてしまう、歌舞伎のスペクタクルの極みといえる。

宙乗りの技法は江戸以来のものだが、近代には奇抜な見世物として顧みられない時期が長く続いた。それを昭和43年(1968)、国立劇場の『義経千本桜』で復活させたのが三代目市川猿之助(二代目市川猿翁)とされる。狐忠信が宙を駆けるこの演出は大きな評判を呼び、以後、宙乗りは現代の歌舞伎に欠かせない人気の演出としてよみがえった。

宙乗りは特定の家の芸ではなく、ケレンと呼ばれる仕掛けの演出とともに歌舞伎全体が育ててきた言葉である。約束事の美学と大胆な見世物性が同居するところに、歌舞伎という芸能の懐の深さがよく表れている。

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SOURCES

出典・監修

執筆
D-13編集部
監修
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公開日
2026年8月15日(土)
最終更新日
2026年8月16日(日)