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早替わり

はやがわりthe lightning-quick role change

INSTANT ANSWER一撃回答

一人の役者が同じ場面の中で複数の役を瞬く間に替わって演じ分ける演出。速さとともに、演じ分けの確かさが命とされる。

早替わり(はやがわり)は、一人の俳優が同じ場面の中で二つ以上の役を、短時間で替わりながら演じる演出である。年齢や性別、善悪までも一瞬で演じ分けるところに眼目があり、文化・文政期(1804〜30)の怪談物(かいだんもの)で多用されて流行したとされる。『東海道四谷怪談(とうかいどうよつやかいだん)』はその代表的な作品である。

舞台裏では、複数の係が化粧から扮装までを一気に整える早拵えや、体格の似た役者が一時的に代わる吹き替えなど、さまざまな工夫が支えている。ただ速いだけでは早替わりにならない——替わる前と後の役をくっきりと生きられるかどうかが、この芸の核心とされる。

早替わりの魅力を一身に集めた演目が、四代目鶴屋南北の『於染久松色読販』、通称「お染の七役」である。文化10年(1813)の初演では五代目岩井半四郎が、恋するお染と久松をはじめ、身分も年齢も異なる七役を早替わりで演じ分けて評判を取ったとされる。以来、女方(おんながた)の技量の見せどころとして、今日まで繰り返し上演されている。

早替わりは特定の家の芸ではなく、ケレンと呼ばれる仕掛けの演出とともに歌舞伎全体が磨いてきた言葉である。役者の身体ひとつで何人もの人生を往き来するその離れ業に、変身の芸能としての歌舞伎の本領が輝く。

SOURCES

出典・監修

執筆
KABUKI Universe編集部
監修
市川團十郎
公開日
2026年8月15日(土)
最終更新日
2026年9月9日(水)
監修済み

監修は、市川團十郎に趣旨と要点を確認いただいたことを示します。本文は編集部の文章であり、市川團十郎の発言ではありません。文責は編集部にあり、記述の誤りは編集部の責任で訂正します。 編集方針を読む