ningyōburi

人形振り

にんぎょうぶりacting in the manner of a bunraku puppet

INSTANT ANSWER一撃回答

俳優が人形浄瑠璃(じょうるり)の人形の動きを模して演じる演出。人形遣いに扮した後見(こうけん)が付き、娘役の激情の場面などに用いられる。

人形振り(にんぎょうぶり)は、俳優が人形浄瑠璃の人形の動きを模して演じる演出をいう。人形浄瑠璃から歌舞伎に移された義太夫狂言(ぎだゆうきょうげん)などで用いられ、ことさらに誇張して人形をまねた身振りが、生身の演技とは異なる舞踊的な効果を生む。

演じる俳優の後ろには人形遣いに扮した後見が付き、義太夫(ぎだゆう)の演奏とともに、あたかも操られているかのような動きを見せる。多くは娘役の激しい情念を表す場面に用いられ、現在みられる形式は文政期の大坂で始まったとされる。

人形振りの代表としてまず挙げられるのが、八百屋お七を主人公とする「櫓のお七」(『伊達娘恋緋鹿子』)である。恋人の危機を救うため、雪の夜、お七は火の見櫓に上る——その一途な狂おしさが人形振りで演じられ、人形さながらのぎこちなくも激しい動きが、かえって生身の演技を超えた情念を浮かび上がらせる。

人形振りは、人形浄瑠璃と歌舞伎が互いに影響を与え合ってきた歴史を一身に凝縮した演出であり、特定の家に属さず歌舞伎全体で受け継がれている。人が人形を演じるという逆転の発想に、歌舞伎の演出の自在さがよく表れている。

SOURCES

出典・監修

執筆
KABUKI Universe編集部
監修
市川團十郎
公開日
2026年8月16日(日)
最終更新日
2026年9月9日(水)
監修済み

監修は、市川團十郎に趣旨と要点を確認いただいたことを示します。本文は編集部の文章であり、市川團十郎の発言ではありません。文責は編集部にあり、記述の誤りは編集部の責任で訂正します。 編集方針を読む