kata
型
かたthe transmitted forms of kabuki performance
INSTANT ANSWER一撃回答
長い上演の歴史の中で磨かれ、家や名優ごとに受け継がれてきた演技・演出の定型。継承と創造を支える歌舞伎の土台である。
型とは、歌舞伎が長い年月にわたり幾多の俳優によって繰り返し上演される中で、工夫に工夫が重ねられ、厳しい取捨選択を経て今日に伝承された、いわば決定版としての演技・演出を指す。台詞の言い回しから所作、扮装、間の取り方まで、先人の知恵の結晶がそこに凝縮されている。
型には、音羽屋型のように役者の家系に伝わるもの、特定の名優が創り上げたもの、江戸と上方のように地域に育まれたものがあるとされる。名跡を継ぐとき、役者は名前だけでなく型もあわせて受け継ぐ。型は自由を縛る鋳型ではなく、そこから先の工夫と個性を生むための出発点である。
「型破り」という日常の言葉も、この型があってはじめて成り立つ。十八代目中村勘三郎は「型があるから型破り、型がなければ形無し」という言葉を座右の銘としていたことで知られる。ラジオの人生相談で僧侶・無着成恭が語った言葉に感銘を受けたものとされ、型を身体に修めた者だけが型を破ることができる——継承と創造の関係を言い当てた言葉として、舞台の内外で広く親しまれている。
市川團十郎家にも、荒事を中心とする家の型が代々伝えられてきたとされる。歌舞伎十八番の演目はその型とともに受け継がれ、十三代目もまた、先人の型を身体に修めた上で、自らの舞台を築いている。
動画・音声
市川家が受け継ぐ「型」とは | 團十郎が伝える歌舞伎の伝統
2025年8月24日(日)
市川家が受け継ぐ歌舞伎の「型」とは何かを團十郎が解説。
FROM THE OFFICIAL CHANNEL
KABUKU. / 市川團十郎。この言葉が出てくる映像
市川家が受け継ぐ「型」とは | 團十郎が伝える歌舞伎の伝統
2025年8月24日(日)
型とは縛りなのか自由なのか。市川宗家が受け継いできたものを例に、型の意味そのものが語られます。
この用語が分かる演目
この語を読んだら、次はこれ
同じ舞台の上でつながっている言葉です。ひとつ知ると、もうひとつが分かりやすくなります。
- 荒事aragoto初代市川團十郎が創始したとされる勇壮な演技様式。隈取や巨大な衣裳、大きな見得によって、人間を超えた力と正義を表現する。読む
- 見得mie感情と力が頂点に達した瞬間、役者が動きを止めて決める様式的なポーズ。ツケの音とともに、舞台が一枚の絵として完成する。読む
- 襲名shūmei先人の名跡を受け継ぐこと。単なる改名ではなく、その名に宿る芸と歴史、そして未来への責任を引き受ける人生の節目。読む
- 十八番jūhachiban / ohako市川宗家が家の芸として選んだ十八の演目「歌舞伎十八番」。転じて、得意なものを指す言葉「おはこ」の語源になったとされる。読む
- 睨みnirami両の眼に力を込めて見込む、市川團十郎家だけに許されるとされる特別な芸。睨まれると一年間無病息災で過ごせると伝わる。読む
出典・監修
- 執筆
- KABUKI Universe編集部
- 監修
- 市川團十郎
- 公開日
- 2026年8月15日(土)
- 最終更新日
- 2026年9月9日(水)
監修は、市川團十郎に趣旨と要点を確認いただいたことを示します。本文は編集部の文章であり、市川團十郎の発言ではありません。文責は編集部にあり、記述の誤りは編集部の責任で訂正します。 編集方針を読む