01SYNOPSIS
3行あらすじ
筋を知ってから観ても、歌舞伎は損をしません。まずは三行だけ。
- 01
大磯の廓に、小田原名物の妙薬「外郎」を売る行商人が現れる。
- 02
所望に応えて薬の由来と効能を語るうち、口はますますなめらかに、早口の言い立てが加速していく。
- 03
実はその正体は、父の敵・工藤祐経を狙う曽我五郎。言い立ての果てに、五郎は正体を現す。
02WHAT TO WATCH
初心者はここを観る
予備知識はこの三つで十分です。当日は、舞台に身をゆだねてください。
01
早口の言い立て
「拙者親方と申すは」から始まる長大な早口の台詞。息継ぎ、滑舌、リズムのすべてが聞かせどころ。
02
声の芸
芝居でありながら、主役は「声」そのもの。役者の鍛錬がもっとも直接に伝わる演目である。
03
現代に生きる台詞
言い立ては今日、俳優やアナウンサーの発声練習として広く使われている。
03CHARACTERS
登場人物
- 外郎売(実は曽我五郎)
- 薬売りに身をやつした若き荒事の英雄。言い立ての名調子で聴衆を魅了する。
- 工藤祐経
- 曽我兄弟の父の敵。曽我物の世界で対決の軸となる人物。
04STAGECRAFT
見どころ・舞台
華やかな曽我物の様式の中に、外郎売の言い立てが独立した聞かせどころとして置かれる。二代目市川團十郎が、自らの声の不調を外郎で治した縁から初演したと伝えられる。
言い立てが最高潮に達したのち、五郎は正体を現し、荒事らしい力強い幕切れとなる。声から身体へ、芸の力が一気に転換する構成が味わいどころである。
05NARITAYA
市川家との関係
歌舞伎十八番
歌舞伎十八番の一つ。長く上演が途絶えていたが近代以降に復活し、市川宗家では初舞台や襲名の節目でもしばしば演じられる、家にとって特別な演目である。