Q&A

演目・文化・歴史

歌舞伎俳優にとって「古典」とは、西暦何年頃までの作品を指しますか?

ANSWER答え

明確な線引きはありません。慣用的には江戸期から明治頃までの作を古典と呼び、明治末以降の新歌舞伎(しんかぶき)、戦後以降の新作歌舞伎と区別することが多いとされます。

KEY POINTS

ここだけ押さえる

  • 年号で切れる定義は存在しない。「古典」は伝承のされ方の違いを指す言葉に近い。
  • 江戸から明治の作は、型の蓄積とともに受け継がれてきた。
  • 明治末以降の新歌舞伎(しんかぶき)は、文学者が書いた戯曲として固定された台本を持つ。
  • 現場では「古典」「新歌舞伎(しんかぶき)」「新作」の三層で呼び分けられ、境界の作品は人により揺れる。
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江戸期〜明治頃

古典

型の蓄積とともに受け継がれる。上演のたびに補綴で台本を整える。

明治末以降

新歌舞伎

文学者が戯曲として書き、固定された台本から出発する。

戦後以降

新作

現代の小説・漫画・アニメなどを原作とするものも多い。

「古典」は年号で切れる概念ではなく、伝わり方の違いに近い言葉です。上演の現場ではこの三層で呼び分けられますが、境界の作品をどちらに数えるかは人により揺れます。長く上演され型が定着すれば、新作もやがて古典に近づいていきます。

「新歌舞伎」をくわしく

くわしく

「西暦何年まで」という答えを期待されるかもしれないが、そうした線引きは存在しない。というより、「古典」という語が指しているのは時代ではなく、伝わり方の違いに近い。

江戸から明治にかけての作品は、上演を重ねるなかで型が蓄積されてきた。誰がどう演じたか、どこで間を取るか、どの家がどの型を伝えているか——そうした層が作品に何重にも巻きついている。上演するとは、その層を受け継ぐことを意味する。一方、明治末以降に生まれた新歌舞伎は、坪内逍遥をはじめとする文学者が書いた戯曲であり、まず固定された台本がある。俳優が型を作っていくのではなく、書かれたものを解釈する、という順序になる。この違いは大きい。

上演の現場では、実用的に「古典」「新歌舞伎」「新作」という三層の呼び分けが使われている。ただし境界の作品をどちらに数えるかは人によって揺れるとされ、厳密な合意があるわけではない。たとえば明治期に書かれた作品でも、その後長く上演され型が定着したものは、事実上古典として扱われることがある。時間が経つほど、新作は古典へ近づいていく——「古典」とは固定された範囲ではなく、動いている境界だと考えるほうが実態に近い。

この回答に出てきた言葉

新歌舞伎
明治末以降、文学者らが戯曲として書いた歌舞伎。固定された台本から出発する。
坪内逍遥
明治から昭和にかけての文学者。新歌舞伎(しんかぶき)の代表的な作者として知られる。
SOURCES

出典・記載の方針

本項は、歌舞伎について広く共有されている基礎的な知識に基づく編集部の回答です。慣行として伝えられる事項は「とされる」と記し、断定を避けています。

執筆
D-13編集部
公開日
2026年8月25日(火)
最終更新日
2026年8月25日(火)