donchō

緞帳

どんちょうthe rising-and-falling drop curtain

INSTANT ANSWER一撃回答

上下に開閉する幕。左右に引く定式幕(じょうしきまく)に対する言葉で、歌舞伎では主に舞踊や新歌舞伎(しんかぶき)・新作歌舞伎の幕明きに用いられる。

緞帳(どんちょう)は、上下に開閉する幕である。左右に引いて開ける定式幕を伝統としてきた歌舞伎では、明治時代の初めごろまで大劇場では用いられなかったとされ、西洋劇場の影響を受けた明治末の帝国劇場から、大劇場にも採用されるようになったとされる。

かつて引幕の使用を許されなかった小規模な劇場が緞帳を用いたことから、「緞帳芝居」という言葉が小芝居の別名になったとされる。今日では豪華な織物の緞帳が各劇場の顔となり、歌舞伎では主に舞踊作品の幕明きや、新歌舞伎・新作歌舞伎などで使われている。

「緞帳」からは「緞帳役者」という言葉も生まれた。引幕を許されない緞帳芝居に出る役者を、格下と見ていやしんで呼んだ言い方とされ、今日でも辞書に残っている。幕の種類がそのまま劇場の格を示した時代の記憶を、ひそかに伝える言葉である。

緞帳は市川宗家(いちかわそうけ)固有の芸と直接結びつく言葉ではなく、劇場の近代とともに歩んできた歌舞伎全体の言葉である。定式幕で開く古典、緞帳で開く舞踊や新作——幕の違いを知ると、十三代目團十郎(だんじゅうろう)の時代の歌舞伎が古典と新作を行き来する呼吸も見えてくる。

SOURCES

出典・監修

執筆
KABUKI Universe編集部
監修
市川團十郎
公開日
2026年8月15日(土)
最終更新日
2026年9月9日(水)
監修済み

監修は、市川團十郎に趣旨と要点を確認いただいたことを示します。本文は編集部の文章であり、市川團十郎の発言ではありません。文責は編集部にあり、記述の誤りは編集部の責任で訂正します。 編集方針を読む