Q&A

制作・稽古・興行

舞台を作る襖などの用具や大道具は、どのように保管されていますか?

ANSWER答え

専門の大道具(おおどうぐ)会社が倉庫で管理し、演目ごとに保管・再利用するとされます。劇場の寸法に合わせて建て直しながら使われます。

KEY POINTS

ここだけ押さえる

  • 興行ごとに作り捨てるのではなく、専門会社の倉庫で演目ごとに保管される。
  • 上演が決まると、劇場の間口に合わせて調整・補修されて舞台に戻る。
  • 定式と呼ばれる規格化された道具立ての体系があるため、基本の道具は演目をまたいで使い回しが利く。
図で見る

図で見る

  1. 倉庫演目ごとに分類して保管
  2. 調整・補修その劇場の間口と高さに合わせる
  3. 仕込み前日までに建て込み、場当たりまで済ませる
  4. 公演毎日の開け閉めに耐える
  5. 解体・積み込み終演後に畳んで次へ運ぶ

→ 手入れを経て、また倉庫へ戻る

大道具は興行のたびに作り捨てるのではなく、専門会社の倉庫で演目ごとに保管され、上演が決まると劇場の寸法に合わせて建て直されます。場面の種類ごとに規格化された「定式」の体系があるため、基本の道具は演目をまたいで使い回しが利きます。

「大道具」をくわしく

くわしく

歌舞伎の舞台に立つ襖、階段、屋台(やたい)と呼ばれる家の造作、松の絵を描いた羽目板——こうしたものは、興行が終わるたびに壊されているわけではない。専門の大道具会社が倉庫を持ち、演目ごとに分類して保管しているとされる。上演が決まると倉庫から出され、傷んだ部分を直し、その劇場の間口や高さに合わせて調整されて舞台に戻る。

この使い回しを可能にしているのが、定式(じょうしき)と呼ばれる考え方である。歌舞伎の道具立てには、場面の種類ごとに「こういう場面ならこの造作」という規格化された型がある。松羽目物(まつばめもの)で使う松の羽目板、町家の場面で使う屋台、御殿の場面の造作といったものが体系として整っているため、演目が違っても同じ道具が使える場面が多い。定式幕(じょうしきまく)という言葉の「定式」も同じ発想で、決まった形を共有することで、短い準備期間でも舞台が成立する。

とはいえ、すべてが在庫で足りるわけではない。その演目にしかない仕掛けや、新しい趣向の道具は、その都度作られる。また、木で作られた道具は湿気や運搬で傷むため、保管と補修は継続的な仕事になる。舞台の上では一瞬で背景として通り過ぎるものが、倉庫では何十年も管理され続けている、という関係がここにはある。

この回答に出てきた言葉

定式
歌舞伎で決まりとして共有されている形。道具立てにも幕にも、この考え方が通っている。
屋台
舞台上に組む家の造作。町家、御殿など場面に応じた型がある。
間口
舞台の横幅。劇場ごとに違うため、同じ道具でも建て方の調整が要る。
SOURCES

出典・記載の方針

本項は、歌舞伎について広く共有されている基礎的な知識に基づく編集部の回答です。慣行として伝えられる事項は「とされる」と記し、断定を避けています。

執筆
D-13編集部
公開日
2026年8月25日(火)
最終更新日
2026年8月25日(火)