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松羽目物

まつばめものpieces adapted from Noh and Kyōgen

INSTANT ANSWER一撃回答

能・狂言に取材し、能舞台を模した松の羽目板の前で演じる格調高い演目。七代目團十郎(だんじゅうろう)の『勧進帳(かんじんちょう)』が始まりとされる。

松羽目物(まつばめもの)は、能や狂言の曲目を原作とし、それらに近い様式で上演する所作事(しょさごと)をいう。「松羽目」とは正面に老松を描いた板羽目のことで、能舞台の鏡板を模したもの。上手に臆病口、下手に揚幕を設え、劇場の中に能舞台の空間を出現させる。能取り物とも呼ばれる。

その始まりは、天保11年(1840)に七代目市川團十郎(いちかわ だんじゅうろう)が初演した『勧進帳』とされる。明治期には九代目團十郎や五代目尾上菊五郎(おのえ きくごろう)らによって『船弁慶』『土蜘』など多くの作品がこの様式で生み出され、格調を重んじる歌舞伎の一分野として定着した。

舞台正面の老松には、由緒がある。能舞台の鏡板に描かれる松は、奈良・春日大社の参道に立つ「影向の松」を写したものとされる。この松は芸能の神の依代と伝えられる霊木で、若宮おん祭では今もその前で芸能が奉納される。松羽目の前で演じることは、神の宿る松に芸を捧げるという能以来の記憶を、歌舞伎の舞台に受け継ぐことでもある。

松羽目物という様式そのものが市川宗家(いちかわそうけ)の『勧進帳』から始まったとされることは、市川團十郎家と歌舞伎の歴史の深い結びつきを物語る。歌舞伎十八番(じゅうはちばん(おはこ))の中心演目として、『勧進帳』の弁慶は歴代の團十郎が勤め続けてきた大役である。

SOURCES

出典・監修

執筆
KABUKI Universe編集部
監修
市川團十郎
公開日
2026年8月15日(土)
最終更新日
2026年9月9日(水)
監修済み

監修は、市川團十郎に趣旨と要点を確認いただいたことを示します。本文は編集部の文章であり、市川團十郎の発言ではありません。文責は編集部にあり、記述の誤りは編集部の責任で訂正します。 編集方針を読む