Q&A
衣裳・化粧・鬘
歌舞伎の足袋には、色や長さに違いがありますか?
ANSWER答え
あります。留め具「こはぜ」の枚数で足首を覆う高さが変わり、少ないほど短く、江戸では足首がちらと見える短い方が粋とされました。色にも役割があります。
KEY POINTS
ここだけ押さえる
- 足袋は「こはぜ」という爪型の留め具で留める。この枚数が高さを決める。
- 4枚は短く動きやすい。関東では足首がちらと見えるのを粋として好まれたとされる。
- 5枚は足首を長く覆う。関西で好まれたとされる。
- 『助六』の足袋はこはぜが2枚と伝えられる。粋を突き詰めた形にあたる。
くわしく
足袋は、ただの靴下ではない。留め方に特徴があり、足首の外側に付いた爪型の金具——こはぜ——を、向かい側の糸に掛けて留める。このこはぜが何枚付いているかで、足袋がどこまで足首を覆うかが決まる。枚数が多いほど丈が高く、少ないほど低い。
ここに美意識が入ってくる。4枚のものは丈が短く、動きやすい。そして足首がわずかに覗く。江戸——今でいう関東——では、この「ちらと見える」ことを粋として、4枚が好まれたと伝えられる。対して関西では、足首をしっかり覆う5枚が好まれたとされる。同じ道具に、地域の美意識の違いがそのまま出ている。
極端な例が『助六』である。江戸一番の伊達男とされるこの役の足袋は、こはぜが2枚と伝えられる。ほとんど足首が隠れない、粋を突き詰めた形である。裾から覗く足元だけで人物の性根を語ってしまうわけで、衣裳が記号の体系だというのは、こんな末端にまで及んでいる。「江戸のハイヒールのようなもの」と言えば、感覚は伝わるかもしれない。実用よりも、どう見えるかを優先した選択である。
色にも役割がある。白足袋は改まった場に用いるもので、舞台でも基本は白である。一方、紺や黒の足袋は「からす足袋」などと呼ばれ、黒衣のように舞台上で目立ってはいけない役に用いられる。白は見せるため、黒は消えるため。同じ足袋でも、その一足がどちらを向いているかがはっきり分かれている。
この回答に出てきた言葉
- こはぜ
- 足袋を留める爪型の金具。枚数で足首を覆う高さが決まる。
- からす足袋
- 紺や黒の足袋。舞台で目立ってはいけない役に用いる。
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SOURCES
出典・記載の方針
- 執筆
- D-13編集部
- 公開日
- 2026年8月25日(火)
- 最終更新日
- 2026年8月25日(火)