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捨て台詞

すてぜりふthe improvised line—now the parting shot

INSTANT ANSWER一撃回答

台本になく、役者がその場で即興的に言う短い台詞。転じて、去り際に言い放つ負け惜しみの言葉を指す日常語となった。

捨て台詞(すてぜりふ)は、本来、台本に書かれておらず、役者がその場の雰囲気に応じて即興的に言う短い台詞をいう。主に登場や退場の際に用いられ、江戸の町の空気を一言で描き出すなど、役者の技量がそのまま表れる。即興で加えられた台詞がやがて型として定着した例も多いとされる。

日常語では意味が転じ、去り際に言い放つ負け惜しみや悪態を「捨て台詞を吐く」と言う。役者が舞台を去る際の即興の一言という場面性だけが受け継がれ、否定的な色合いを帯びた点で、元の意味との落差が大きい言葉である。

現代でのつかわれ方としては、「『二度と来るか』と捨て台詞を吐いて店を出て行った」「捨て台詞を残して会議室を後にした」のように使われる。決まって「吐く」「残す」という動詞と結びつくのは、去り際に投げ捨てられる言葉だからで、日常語の中にも退場の場面性がくっきりと保たれている。

捨て台詞は、役者の即興を受け入れてきた歌舞伎という演劇の性格をよく伝える、歌舞伎全体の言葉である。その場の呼吸から生まれた工夫が型となって残っていく道筋は、市川宗家(いちかわそうけ)の芸を含む歌舞伎の型の成り立ちそのものを映している。

SOURCES

出典・監修

執筆
KABUKI Universe編集部
監修
市川團十郎
公開日
2026年8月16日(日)
最終更新日
2026年9月9日(水)
監修済み

監修は、市川團十郎に趣旨と要点を確認いただいたことを示します。本文は編集部の文章であり、市川團十郎の発言ではありません。文責は編集部にあり、記述の誤りは編集部の責任で訂正します。 編集方針を読む