tonbo

トンボ

とんぼ「筋斗」ともthe somersaults of kabuki fight scenes

INSTANT ANSWER一撃回答

立廻り(たちまわり)で斬られたり投げられたりした役が返る宙返り。「トンボを返る」といい、歌舞伎俳優の基本の身体技術とされる。

トンボは、立廻りの中で、主役に斬られたり投げられたりしたことを表すために絡み役が返る宙返りをいう。「トンボを返る」と言い表し、道具の助けを借りず身ひとつで返るのが基本で、歌舞伎俳優が身につけるべき基礎技術のひとつとされる。

立廻りのあるほとんどの場面にトンボは登場し、屋根や土手の上など高い場所から返って落ちる大技もある。斬られる側の身のこなしが美しいほど、主役の強さと場面全体の絵が引き立つ——トンボは、負ける演技にこそ技術を尽くす歌舞伎らしい約束事である。

トンボの名は、宙を自在に飛び、ふいに身を翻す昆虫の蜻蛉の姿に由来するとされ、漢字では「筋斗(とんぼ)」とも書かれる。「トンボを切る」という言い回しは舞台の外にも広まり、今日では宙返り一般を指す言葉として日常にも生きている。稽古場で幾度も身体に刻まれる技が、言葉としても宙を飛んで暮らしに届いたのである。

トンボは特定の家に属さない、歌舞伎全体を底から支える身体の言葉である。市川團十郎(いちかわ だんじゅうろう)家の荒事(あらごと)の立廻りも、名を掲げぬ俳優たちの見事なトンボがあってはじめて、その豪快さが一枚の絵として完成する。

SOURCES

出典・監修

執筆
KABUKI Universe編集部
監修
市川團十郎
公開日
2026年8月16日(日)
最終更新日
2026年9月9日(水)
監修済み

監修は、市川團十郎に趣旨と要点を確認いただいたことを示します。本文は編集部の文章であり、市川團十郎の発言ではありません。文責は編集部にあり、記述の誤りは編集部の責任で訂正します。 編集方針を読む