Q&A

演技・舞台表現

役者が横を向く際、上手側を見る場合と下手側を見る場合には、どのような違いがありますか?

ANSWER答え

上手(客席から見て右)は目上・格の高い側、下手(左)は目下・出入りの側という空間の約束があり、視線の向きが関係の上下や心の向かう先を示すとされます。

KEY POINTS

ここだけ押さえる

  • 歌舞伎の舞台は、ただの左右ではなく意味を持った空間である。
  • 御殿の場面では、身分の高い人物が上手に座り、訪う者は下手から現れる。
  • 上手を見る視線は目上への意識や改まった心を含意することが多い。
  • 下手を見る視線は、去った者への思いや外界へ向かう心を含意することが多い。
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読み合わせ台本を声に出して確かめる立稽古動きと位置を合わせる附立(つけだて)囃子・ツケを入れて合わせる総ざらい通して確かめる初日幕が開く
稽古が数日で足りるのは、俳優も囃子方も裏方も、その演目の「型」を共有の言語として既に持っているから。稽古はゼロから作る場ではなく、互いの型と間を今回の座組に合わせて調律する場です。

「型」をくわしく

くわしく

歌舞伎の舞台には、左右に意味がある。この一点を知っているかどうかで、見えるものがかなり変わる。上手(かみて、客席から見て右)は格の高い側である。御殿の場面では、身分の高い人物が上手に座る。位牌や神仏を祀る場所も上手に置かれることが多い。対する下手(左)は、外から人が入ってくる側であり、去っていく側でもある。花道(はなみち)が下手側を通っているのも、この文法と響き合っている。

この配置が分かっていると、役者が横を向くだけの動作から情報が読めるようになる。上手を見るとき、その視線には目上への意識や、改まった心の動きが含まれることが多いとされる。主君を意識する、神仏に向かう、格式に対して姿勢を正す——そういった含みである。逆に下手を見るときは、去った者を思う、外の世界へ心が向かう、といった読みになりやすい。誰かが花道から去った直後に、残された人物が下手を見つめる——それだけで、その人物が何を考えているかが伝わる。

もちろん、これは絶対の規則ではない。演目や場面によって例外はあるし、演出の意図で意味づけが変わることもある。ただ、大まかな文法として知っておくと、台詞のない瞬間の芝居が読めるようになる。歌舞伎には、言葉を発さずに立っているだけの時間がしばしばある。そこで何が起きているのかを掴む手掛かりとして、左右の意味は非常に有効である。

この回答に出てきた言葉

御殿
身分の高い人物の屋敷を舞台にした場面。上下の関係が空間に表れる。
視線
どこを見るかという演技。歌舞伎では方向そのものが意味を運ぶ。
SOURCES

出典・記載の方針

本項は、歌舞伎について広く共有されている基礎的な知識に基づく編集部の回答です。慣行として伝えられる事項は「とされる」と記し、断定を避けています。

執筆
D-13編集部
公開日
2026年8月25日(火)
最終更新日
2026年8月25日(火)