yagura

櫓

やぐらthe tower that marked an officially licensed theatre

INSTANT ANSWER一撃回答

芝居小屋の正面上に組まれた構造物。幕府公認の劇場だけが掲げることを許され、興行権の象徴とされた。今も顔見世(かおみせ)の吉例に残る。

櫓は、芝居小屋の正面入口の上に組まれた構造物で、座紋を染め抜いた幕で囲われる。江戸時代、これを掲げられることが幕府公認の芝居小屋である証とされ、興行権の象徴として重んじられた。

江戸では、中村座・市村座・森田座のいわゆる江戸三座(えどさんざ)だけが櫓を掲げることを許されたとされる。現在の歌舞伎座(かぶきざ)でも、十一月の顔見世興行の際に正面玄関の上に櫓が組まれ、梵天と槍を組んだ姿に座紋の鳳凰が掲げられる。特権の制度は消えても、櫓は吉例として受け継がれている。

櫓は見せるためだけのものではなく、音を出す装置でもあった。かつては櫓の上で興行の始まりなどを告げる「櫓太鼓」が打たれ、その響きが芝居町のにぎわいを呼んだとされる。歌舞伎の櫓太鼓は文化期(1804〜18年)以後ほとんど絶えたとされるが、大相撲では今も櫓太鼓が鳴り、この言葉を耳で確かめることができる。

櫓は特定の家に属さない、江戸歌舞伎の制度と格式を物語る言葉である。その櫓の下で歴代の市川團十郎(いちかわ だんじゅうろう)も芸を磨いてきたのであり、官許の劇場文化こそ、荒事(あらごと)という江戸の様式を育てた土壌であった。

櫓劇場正面舞台奈落客席12345
  1. 1櫓 — 官許のしるし
  2. 2奈落 — 舞台と花道の床下
  3. 3セリ — 昇降の仕掛け
  4. 4すっぽん — 花道のセリ
  5. 5花道 — 客席を貫く道
横から見た断面のイメージ図です。実際の構造は劇場によって異なります。
SOURCES

出典・監修

執筆
KABUKI Universe編集部
監修
市川團十郎
公開日
2026年8月16日(日)
最終更新日
2026年9月9日(水)
監修済み

監修は、市川團十郎に趣旨と要点を確認いただいたことを示します。本文は編集部の文章であり、市川團十郎の発言ではありません。文責は編集部にあり、記述の誤りは編集部の責任で訂正します。 編集方針を読む