Q&A

制作・稽古・興行

歌舞伎独特の台詞回しは、役者がどのように身につけるのですか?

ANSWER答え

幼少からの初舞台(はつぶたい)と、師や先輩からの口移し(口伝)で身につけるとされます。義太夫(ぎだゆう)長唄(ながうた)など音曲の稽古が土台になります。

KEY POINTS

ここだけ押さえる

  • 歌舞伎の台詞は「語りの芸」で、文字を読んで覚えられる性質のものではない。
  • 七五調の律動と、音楽との掛け合いが台詞の骨格になっている。
  • 子役として舞台に立ちながら耳と体で覚え、成長後は音曲と舞踊の稽古で間を鍛える。
  • 家ごとの台詞回しの違いは、口移しでしか渡らないとされる。
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くわしく

歌舞伎の台詞を初めて聞くと、日常の話し方とあまりに違うことに驚く人が多い。これは俳優が大げさに喋っているのではなく、台詞そのものが「語りの芸」として作られているからである。七音と五音を組み合わせた律動が下敷きにあり、三味線(しゃみせん)竹本(たけもと)の音と掛け合いながら進む。つまり台詞は、意味を伝える文であると同時に、音楽の一部でもある。

だから、文字を読んで覚える、という道は最初から成り立たない。伝統的な道筋は、幼いうちに子役として舞台に立ち、周囲の大人の台詞を毎日浴びながら、耳と体で律動を覚えることだとされる。まだ意味の分からない言葉を、音として先に体に入れてしまうわけである。この時期に身についた呼吸は、後から意識で作れるものではないと言われる。

成長してからは、義太夫、長唄、日本舞踊といった稽古が土台になる。音曲を自ら稽古することで、間の取り方、息の継ぎ方、音に乗る感覚が鍛えられる。そのうえで、家ごとの台詞回しの伝えが口移しで渡される。同じ役の同じ台詞でも、どこを張り、どこを落とすかは家によって違い、この差は録音を聞くだけでは掴めない部分が残るとされる。だからこそ、稽古場で直される時間が要る。

この回答に出てきた言葉

口伝
文字にせず、口で直接伝えること。歌舞伎の芸の受け渡しの基本形。
七五調
七音と五音を組み合わせた日本語の律動。歌舞伎の台詞の骨格になっている。
義太夫
物語を語る音曲。歌舞伎では竹本(たけもと)として、場面の情景や心情を語り進める。
SOURCES

出典・記載の方針

本項は、歌舞伎について広く共有されている基礎的な知識に基づく編集部の回答です。慣行として伝えられる事項は「とされる」と記し、断定を避けています。

執筆
D-13編集部
公開日
2026年8月25日(火)
最終更新日
2026年8月25日(火)