Q&A

衣裳・化粧・鬘

舞台化粧は、どのように洗い落としているのですか?

ANSWER答え

下地の鬢付け油ごと、油分で浮かせて拭き取ってから洗い流すとされます。水や石鹸でいきなりこすらないのが基本です。

KEY POINTS

ここだけ押さえる

  • 歌舞伎の白塗りは、鬢付け油を薄く伸ばした上に練り白粉を重ねる構造になっている。
  • 落とすときは、油分の強いクレンジングでこの層ごと浮かせる。
  • 浮かせたものを拭き取ってから、洗顔する。いきなり水や石鹸でこすらない。
  • 油で塗り、油で落とす——化粧の構造そのものに、落とし方が組み込まれている。
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紅隈

正義・若さ・あふれる力

藍隈

悪・怨霊・冷たい力

茶隈

鬼や妖怪など、人ならざるもの

色を見れば、その役の性質が伝わる——隈取は歌舞伎の「顔の言葉」です。隈取には多くの種類があり、図の色はおよその色味です。隈取をくわしく →

「隈取」をくわしく

くわしく

落とし方を理解するには、まず塗り方を知る必要がある。歌舞伎の白塗りは、いきなり肌に白粉を載せるのではない。まず鬢付け油(びんつけあぶら)を薄く伸ばして下地を作り、その上に練り白粉を重ねる。この二層構造が要点である。

そのうえで落とし方だが、原則は「油で落とす」である。油分の強いクレンジングを顔になじませ、白粉と下地の油を一緒に浮かせる。浮いたところを丁寧に拭き取り、そのあとで洗顔する。水と石鹸でいきなりこすってはいけない。白粉と油は水では落ちないため、こすっても伸びるだけで、肌に負担がかかる。隈取(くまどり)の顔料も油性なので、同じ方法で落ちる。

つまり、油で塗り、油で落とす。化粧の構造そのものに、落とし方が組み込まれているわけである。この方式には副次的な利点もある。下地の油が肌と顔料のあいだに膜を作っているため、落とすときも顔料が直接肌に残りにくい。長い年月のなかで、毎日繰り返しても成り立つ方法として整えられてきたのだろう。ちなみに、化粧を落とす前に、和紙や布に顔を押し当てて隈取を写し取ることがある。これを押隈(おしぐま)(おしぐま)といい、記念として残される。油性の顔料でなければ、こうした写し取りはできない。

この回答に出てきた言葉

鬢付け油
髪や化粧の下地に用いる固形の油。白粉を載せる前の膜になる。
練り白粉
練り状の白い化粧料。油の下地の上に重ねて白塗りを作る。
押隈
隈取(くまどり)を和紙や布に押し当てて写し取ったもの。記念として残される。
SOURCES

出典・記載の方針

本項は、歌舞伎について広く共有されている基礎的な知識に基づく編集部の回答です。慣行として伝えられる事項は「とされる」と記し、断定を避けています。

執筆
D-13編集部
公開日
2026年8月25日(火)
最終更新日
2026年8月25日(火)