Q&A

市川宗家・成田屋

歌舞伎の名前には、受け継ぐものと新しく作るものがありますか。何か決まりはありますか?

ANSWER答え

両方あります。名跡(みょうせき)は代々受け継がれ、俳名(はいみょう)や新しい名が作られることもあります。統一の規則はなく、家ごとの慣行で決まるとされます。

KEY POINTS

ここだけ押さえる

  • 名跡(みょうせき)は、芸と責任ごと代々受け継がれていく「生きた名」。
  • 一方で、俳名のように別系統の名もあり、新しく作られたり、掘り起こされたりもする。
  • 十三代目は五代目團十郎(だんじゅうろう)の俳名「白猿(はくえん)」を復活させ、「市川團十郎(いちかわ だんじゅうろう)白猿(はくえん)」を名乗っている。
  • 全家共通の規則はない。名の体系は、家ごとの歴史そのものである。
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  1. 名跡代々受け継がれる「生きた名」
  2. 機が熟す芸の充実、先代の追善、興行の巡り合わせ
  3. 協議家と一門、松竹が時間をかけて調える
  4. 襲名披露興行家の大役を勤め抜く、事実上の審査
  5. 口上舞台上で新しい名を観客に披露する
襲名に試験や免状はありません。名を変えるのは一日ですが、名に適う芸を作るのは生涯の仕事です。

「名跡」をくわしく

くわしく

歌舞伎の名前は、一つの人に一つとは限らない。まず中心にあるのが名跡(みょうせき)である。市川團十郎(いちかわ だんじゅうろう)、尾上菊五郎、松本幸四郎——こうした名は個人の呼び名であると同時に、代々受け継がれていく器でもある。名を継ぐことは、その名がこれまで担ってきた芸と責任を引き受けることを意味する。だからこそ「何代目」という数え方が付いてまわる。

その一方に、俳名(はいみょう)という別系統の名がある。もともとは俳諧の号で、役者が芸名とは別に持つ雅号にあたる。名跡ほど厳密な継承の対象ではなく、掘り起こしたり、新しく作ったりする余地がある。当代の十三代目が、五代目團十郎(だんじゅうろう)の用いた俳名「白猿(はくえん)」を復活させ、「十三代目市川團十郎白猿」を名乗っているのは、その一例である。継ぐだけでなく、過去から呼び戻す——という名の扱い方がここにある。

では規則はどうなっているのかというと、全家に共通する成文の規則というものはない。どの名をどの段階で名乗るか、誰が継ぐか、いつ次の名へ進むかは、家ごとの慣行として積み重なってきたものである。ある家では若い頃に名乗る名が決まっていて、ある家ではそうでない。統一されていないことを不備と見る必要はなく、むしろ、一つひとつの名乗りに固有の物語があるのはそのためだと言える。

この回答に出てきた言葉

俳名
俳諧の号に由来する、芸名とは別に持つ雅号。名跡(みょうせき)ほど厳密に継がれるものではない。
何代目
その名跡(みょうせき)を継いだ順番。名が代々受け継がれる器であることを示している。
SOURCES

出典・記載の方針

本項は、歌舞伎について広く共有されている基礎的な知識に基づく編集部の回答です。慣行として伝えられる事項は「とされる」と記し、断定を避けています。

執筆
D-13編集部
公開日
2026年8月25日(火)
最終更新日
2026年8月25日(火)