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白猿

はくえん"white monkey"—the humble literary name of the Danjūrō line

INSTANT ANSWER一撃回答

五代目團十郎(だんじゅうろう)の俳名に由来する号。名人にはなお及ばないという謙遜を込めたとされ、当代十三代目も「白猿(はくえん)」を名乗る。

歌舞伎俳優は、俳句を詠むときなどに用いる「俳名」を持つことがある。市川宗家(いちかわそうけ)では二代目市川團十郎(いちかわ だんじゅうろう)以来、「栢莚(はくえん)」の俳名が用いられてきたとされる。

五代目市川團十郎は、猿は人間より毛が三本足りないという俗信を踏まえ、名人にはなお毛三本足りないという謙遜の意を込めて、俳名を同じ読みの「白猿」に改めたとされる。名声の頂点にあった役者が、あえて「及ばぬ者」と自らを呼んだところに、この号の奥行きがある。

俳名は、俳句や書画をたしなむ役者の、文人としての顔を映す文化である。五代目團十郎は生涯にいくつもの俳名を持ち、梅童、男女川(おながわ)、三升(みます)(さんしょう)を経て白猿に至ったとされる。舞台の外で文事に遊ぶその心が、白猿という号の洒脱なひねりを生んだといえる。

2022年、当代は「十三代目市川團十郎白猿」として襲名(しゅうめい)し、白猿の号をその名に添えた。先人の芸に及ばぬ身として精進を続けるという戒めを、名そのものに刻み込んだ号である。

SOURCES

出典・監修

執筆
KABUKI Universe編集部
監修
市川團十郎
公開日
2026年8月16日(日)
最終更新日
2026年9月9日(水)
監修済み編集部執筆

監修は、市川團十郎に趣旨と要点を確認いただいたことを示します。本文は編集部の文章であり、市川團十郎の発言ではありません。文責は編集部にあり、記述の誤りは編集部の責任で訂正します。 編集方針を読む