kuromaku

黒幕

くろまくthe black curtain—and the mastermind behind the scenes

INSTANT ANSWER一撃回答

舞台で夜や闇を表し、場面転換にも使う黒い幕。転じて、表に出ずに陰で指図する人物を指す日常語になったとされる。

黒幕(くろまく)は、歌舞伎の舞台で用いられる黒木綿の幕で、夜や闇の場面を表すほか、場面の変わり目に舞台を隠したり、道具の奥に掛けて背景の代わりにしたりするために使われる。黒は「見えないもの」を表す歌舞伎の約束事の色であり、黒幕が掛かれば、観客はそこを闇として受け取る。

日常語の「黒幕」——表に立たず、陰で指図し物事を動かす人物——は、この舞台の黒幕に由来するとされる。見えない場所から舞台の進行を左右する幕のイメージが、背後の実力者という比喩に転じたと考えられている。

現代でのつかわれ方としては、「あの合併劇の黒幕は誰か」「事件の黒幕がついに明るみに出た」のように、政治・経済の報道から推理小説やドラマまで幅広く使われる。表に出ないことが黒幕の条件であり、正体が明かされた瞬間にこの言葉の役目は終わる——そんな含みにまで、舞台の約束事の面影が宿っている。

黒幕は歌舞伎の舞台美術全体に関わる言葉であり、特定の家の芸ではない。闇を一枚の幕で表すという簡潔な約束事は、歌舞伎が磨き上げてきた様式の知恵の一例として、市川宗家(いちかわそうけ)(成田屋(なりたや)・市川團十郎(いちかわ だんじゅうろう)家)の舞台を含むあらゆる演目を今も支えている。

SOURCES

出典・監修

執筆
KABUKI Universe編集部
監修
市川團十郎
公開日
2026年8月16日(日)
最終更新日
2026年9月9日(水)
監修済み

監修は、市川團十郎に趣旨と要点を確認いただいたことを示します。本文は編集部の文章であり、市川團十郎の発言ではありません。文責は編集部にあり、記述の誤りは編集部の責任で訂正します。 編集方針を読む