Q&A
衣裳・化粧・鬘
『連獅子』と『鏡獅子』で使用する毛は、何の毛ですか?
ANSWER答え
獅子の長い白毛・赤毛には、ヤクの尾の毛が使われるとされます。毛振りの激しさに耐える強さとしなやかさを備えた素材です。
KEY POINTS
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- 台金(だいがね) — 薄い金属を役者の頭の形に打ち出す。鬘の土台
- 毛を通す — 台金に毛を通す。人毛が中心で、ヤクの毛なども併用されるとされる
- 結い上げ — 床山が役の身分・年齢に合わせて髷を結う。公演中は毎日結い直す
くわしく
石橋物(しゃっきょうもの)の獅子が、舞台いっぱいに長い毛を振り回す——毛振りと呼ばれるこの場面は、歌舞伎舞踊のなかでも屈指の見どころである。首を回し続けて毛を大きく円を描かせる、あるいは前後に振り下ろす。数十秒にわたって続くこともあり、客席の拍手が自然に湧く。
この毛に何が使われているかというと、ヤクの尾毛だとされる。ヤクはチベット高原などに生息するウシ科の動物で、その尾の毛は長く、強く、しなやかである。人毛ではこの張りと長さが出ない。毛振りは非常に激しい動きなので、素材が弱ければ房が絡まったり切れたりしてしまう。舞台で美しい円を描くためには、一本一本に腰がありながら、全体としてしなやかに動く必要がある。ヤクの毛はこの条件を満たしている。同じ理由で、鬘の一部にもヤクの毛が使われることがある。
演目についても触れておきたい。『春興鏡獅子(しゅんきょうかがみじし)』は、明治26年(1893)に九代目市川團十郎が初演したとされる新歌舞伎十八番の一つである。小姓の弥生が獅子の精に変じ、白い毛を振るという構成で、前半の女方の舞と後半の獅子の荒々しさという落差が見どころになっている。『連獅子(れんじし)』は親子の獅子が共に毛を振る演目で、実際の親子の俳優が勤めることも多い。白い毛の獅子の精は、市川家の舞台とも縁が深い。
この回答に出てきた言葉
- 毛振り
- 獅子が長い毛を振り回す見せ場。首の回転で大きな円を描く。
- ヤク
- チベット高原などに生息するウシ科の動物。尾の毛が獅子の毛に用いられる。
- 石橋物
- 能『石橋』に由来する獅子の舞踊の一群。毛振りを見せ場とする。
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SOURCES
出典・記載の方針
- 執筆
- D-13編集部
- 公開日
- 2026年8月25日(火)
- 最終更新日
- 2026年8月25日(火)