kudoki

クドキ

くどきthe lyrical lament of a female character

INSTANT ANSWER一撃回答

義太夫狂言(ぎだゆうきょうげん)や舞踊で、女性の登場人物が切ない心情を切々と訴える場面。女方(おんながた)が中心となる聞かせどころ・見せどころ。

クドキは、義太夫狂言の中で女性の登場人物が自らの心情を切々と訴える場面をいう。多くの義太夫(ぎだゆう)狂言では主役は立役(たちやく)だが、クドキでは女方が演技の中心となり、感情を前面に出しながら、三味線(しゃみせん)や竹本(たけもと)の語りに合わせて舞踊に近い様式的な動きを見せる。

クドキはもともと、平曲・謡曲・浄瑠璃(じょうるり)など日本音楽の楽曲構成の単位を示す言葉でもあり、民謡や歌謡の形式名にも用いられる。歌舞伎舞踊のクドキでは、たいてい切ない女心が描かれ、抑えた動きの中に感情の起伏を畳み込む女方の芸の粋が凝縮される。

クドキの名場面として名高いのが、『艶容女舞衣』の「酒屋」である。行方の知れない夫を案じるお園が「今頃は半七つぁん、どこにどうしてござろうぞ」と切り出すクドキはこの一幕の眼目とされ、抑えた姿から想いがあふれ出す女方の至芸として、人形浄瑠璃とともに歌舞伎でも大切に演じ継がれている。

クドキは特定の家に属さない、歌舞伎全体の演出の言葉である。荒事(あらごと)の「動」を家の芸とする市川團十郎(いちかわ だんじゅうろう)家の舞台とは対極にある「静」の見せ場であり、この両極がそろってはじめて、歌舞伎という劇の振幅の大きさが見えてくる。

SOURCES

出典・監修

執筆
KABUKI Universe編集部
監修
市川團十郎
公開日
2026年8月16日(日)
最終更新日
2026年9月9日(水)
監修済み

監修は、市川團十郎に趣旨と要点を確認いただいたことを示します。本文は編集部の文章であり、市川團十郎の発言ではありません。文責は編集部にあり、記述の誤りは編集部の責任で訂正します。 編集方針を読む