Q&A

衣裳・化粧・鬘

役の顔や鬘は、どのように決めていくのですか?

ANSWER答え

役の性根(しょうね)から出発し、化粧は家の型と先例に、鬘は「鬘合わせ」で頭に合わせながら役の身分・年齢に沿って決めていくとされます。

KEY POINTS

ここだけ押さえる

  • 出発点は役の性根——その人物が根本的にどういう人間か、という理解である。
  • 化粧は俳優自身が施す。隈取(くまどり)のような様式化粧は演目と役でほぼ定まっている。
  • 鬘は公演前に「鬘合わせ」があり、台金を俳優の頭に合わせたうえで床山(とこやま)が結い上げる。
  • 顔と鬘は別々に決まるのではなく、役をどう解釈するかというひとつの判断から導かれる。
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紅隈

正義・若さ・あふれる力

藍隈

悪・怨霊・冷たい力

茶隈

鬼や妖怪など、人ならざるもの

色を見れば、その役の性質が伝わる——隈取は歌舞伎の「顔の言葉」です。隈取には多くの種類があり、図の色はおよその色味です。隈取をくわしく →

「隈取」をくわしく

くわしく

順序としては、まず役の性根(しょうね)がある。その人物が根本的にどういう人間なのか——強いのか、脆いのか、正義の側なのか、恨みを抱えているのか。この理解が定まらないと、顔も鬘も決まらない。逆に言えば、拵えの選択はすべてこの一点から導かれる。

化粧について言えば、歌舞伎では俳優自身が施すのが習いである。楽屋(がくや)の鏡の前で、白粉を塗り、線を引く。隈取(くまどり)のような様式化粧は、演目と役でほぼ定まっている——荒事(あらごと)の主役なら筋隈、公家悪なら藍隈というように。ただし、線の太さや払い方、ぼかしの加減には家ごとの型があるとされ、そこに俳優自身の骨格との調整が入る。父の顔をそのまま写しても、自分の顔では収まらないことがある。だから若い俳優は、先代の化粧を手本にしながら、自分の顔で成立する線を探していく。

鬘については、公演前に「鬘合わせ」と呼ばれる工程がある。鬘師が作った台金を俳優の頭に実際に合わせ、締まり具合を調整する。ここが合っていないと、激しい動きで鬘が動いてしまうし、長時間かぶると頭が痛くなる。台金が決まったら、床山(とこやま)が役に応じた髷に結い上げる。武士か町人か、若いか年輩か、身なりを整えているか乱れているか——それが髷の形と結いの精度で示される。そして重要なのは、顔と鬘が別々に決まるのではないことである。同じ性根の理解から、化粧の線も、髷の形も導かれる。だから両者は必ず釣り合う。

この回答に出てきた言葉

性根
その人物の根本の性質。拵えも演技も、ここから導かれる。
鬘合わせ
公演前に台金を俳優の頭に合わせる工程。締まり具合をここで調整する。
公家悪
公家の姿をした大悪人の役柄。藍隈を用いて人ならぬ気配を帯びる。
SOURCES

出典・記載の方針

本項は、歌舞伎について広く共有されている基礎的な知識に基づく編集部の回答です。慣行として伝えられる事項は「とされる」と記し、断定を避けています。

執筆
D-13編集部
公開日
2026年8月25日(火)
最終更新日
2026年8月25日(火)