Q&A

演技・舞台表現

歌舞伎役者が子どもの頃に憧れる役はありますか?

ANSWER答え

人それぞれで、決まった答えはありません。一般には、家に伝わる大役——荒事(あらごと)の家なら『暫』や弁慶——への憧れが語られることが多いとされます。

KEY POINTS

ここだけ押さえる

  • 決まった答えはない。何に憧れたかは個々の俳優によって違う。
  • 一般には、憧れは家の芸の形をとって現れることが多いとされる。
  • 市川家であれば歌舞伎十八番(じゅうはちばん(おはこ))の主役たち、音羽屋であれば世話物(せわもの)の色男、というように。
  • 父や祖父が勤める大役が、日常のなかにある憧れの的になる。
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歌舞伎十八番

  • 不破
  • 鳴神
  • 不動
  • 象引
  • 勧進帳
  • 助六
  • 外郎売
  • 押戻
  • 矢の根
  • 関羽
  • 景清
  • 七つ面
  • 毛抜
  • 解脱
  • 蛇柳
  • 鎌髭

今日ごく普通に上演される上演の機会が限られる

七代目市川團十郎が天保年間に選定したとされる十八の演目。選定の時点で既に上演の絶えていたものも含まれており、以後の復活上演で少しずつ舞台に戻されてきました。完成品の棚ではなく、掘り起こしが続く鉱脈です。上演の多寡は時期によっても変わります。

「十八番」をくわしく

くわしく

歌舞伎の家に育つということは、大役が日常の風景のなかにあるということである。父が『勧進帳(かんじんちょう)』の弁慶を勤める月には、家の話題も、稽古の音も、劇場の空気も、その役を中心に回る。楽屋(がくや)に出入りし、舞台袖から見上げ、拵えが仕上がっていく過程を間近に見る。他の職業の子どもが憧れる対象とは、距離感がまったく違う。

だから、憧れは家の芸の形をとって現れることが多いとされる。市川家に生まれれば、歌舞伎十八番(じゅうはちばん(おはこ))の主役たち——『暫』の鎌倉権五郎、『助六(すけろくゆかりのえどざくら)』、『勧進帳』の弁慶——が目標として立ち現れる。音羽屋であれば世話物(せわもの)の色男、というように、家によって憧れの輪郭は違う。そして重要なのは、その憧れが「いつか自分が勤めるかもしれない役」であることである。届かない夢ではなく、順番を待つ目標として存在している。

ただし、これはあくまで一般論である。実際に何に憧れたかは、俳優一人ひとりで違う。家の芸ではない役に強く惹かれた人もいれば、役ではなく特定の俳優の姿に憧れた人もいる。この頁で書けるのは、そうした一般的な傾向までである。個々の俳優の内面については、本人の言葉でしか語れない。

この回答に出てきた言葉

音羽屋
尾上菊五郎家などの屋号(やごう)世話物(せわもの)や舞踊に強みを持つ系統として知られる。
楽屋
俳優が支度をする舞台裏の部屋。歌舞伎の家の子どもには身近な場所である。
SOURCES

出典・記載の方針

本項は、歌舞伎について広く共有されている基礎的な知識に基づく編集部の回答です。慣行として伝えられる事項は「とされる」と記し、断定を避けています。

執筆
D-13編集部
公開日
2026年8月25日(火)
最終更新日
2026年8月25日(火)