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衣裳・化粧・鬘
歌舞伎の鬘には、どのような種類がありますか?家によって決まった鬘はありますか?
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- 台金(だいがね) — 薄い金属を役者の頭の形に打ち出す。鬘の土台
- 毛を通す — 台金に毛を通す。人毛が中心で、ヤクの毛なども併用されるとされる
- 結い上げ — 床山が役の身分・年齢に合わせて髷を結う。公演中は毎日結い直す
くわしく
歌舞伎の鬘は、驚くほど種類が多い。立役で約千種、女方で約四百種あるとされる。これは装飾の都合ではなく、鬘が人物の説明を担っているからである。武士か町人か、若いか年輩か、堅気か遊女か、身なりを整えているか落ちぶれているか——それらがすべて髷の形と結い方で示される。観客は幕が開いた瞬間に、髪型だけでその人物の素性をかなり読み取れる。
分類の軸の一つが、後ろ髪の仕立てである。立役の髱(たぼ)には、油で固めてぴたりと収める「油付(あぶらつき)」と、ふくらみを持たせて結い上げる「袋付(ふくろつき)」がある。油付にはさらに「研ぎ出し」と呼ばれる仕上げがあり、艶の立て方まで型として決まっている。同じ役でも、この仕立てが違えば人物の印象は変わる。硬く締まった油付は折り目正しさを、ふくらみのある袋付はやわらかさを帯びる。
質問の後半、家に固有の鬘があるか、という点について。「まさかり」と呼ばれる形が伝えられている。鬢のあたりの形が鉞(まさかり)——大きな斧に似ていることからの名で、加賀鳶(かがとび)、すなわち加賀前田家に召し抱えられた火消したちと同じ髪型にあたるとされる。江戸で粋とされ、男らしい形と見なされてきた髪型である。
そして、襲名などの口上でこの鬘を用いる際、市川宗家は「油付きまさかり」、一門の俳優は「袋付きまさかり」を用いると成田屋の公式に記されている。同じまさかりでありながら、仕立てを違えることで宗家と一門の別を示すわけである。舞台の上で誰が何を着けているかが、そのまま家の関係を語っている——鬘が単なる被り物ではないというのは、こういう意味である。なお、こうした細かな伝えは家ごとに異なり、外から一律に語れるものではない。
この回答に出てきた言葉
- 髱(たぼ)
- 後頭部に張り出す髪の部分。ここの仕立てで鬘の性格が変わる。
- まさかり
- 鉞に似た形の鬘。加賀鳶と同じ髪型とされ、粋で男らしい形と見なされてきた。
- 加賀鳶
- 加賀前田家に召し抱えられた火消し。その粋な身なりは江戸で知られた。
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SOURCES
出典・記載の方針
- 執筆
- D-13編集部
- 公開日
- 2026年8月25日(火)
- 最終更新日
- 2026年8月25日(火)